ビートは甜菜(てんさい)のこと。
ちなみにビートたけしのコンビ名、ツービートは、音楽のツービートにこの甜菜=天才をかけています。
砂糖はさとうきびのほかに、この甜菜から作られます。
もう一度、ビート資料館で撮影した甜菜の標本写真を掲げます。
外見は蕪に似ていますが、ほうれん草の仲間です。
さとうきびは熱帯地方の植物で、日本では沖縄県と鹿児島県の南西諸島で栽培されています。
茎の樹液を絞るかたち(圧搾法)で、砂糖液を取り出します。
これに対して、甜菜は寒冷地に適した作物で、日本ではここ北海道の十勝平野で産出され、帯広市と隣町の芽室町に日本甜菜製糖株式会社の工場があります。
こちらは根の部分に糖分が含まれていて、煮出すかたち(浸出法)で砂糖を取り出します。
さとうきびは8kgで約1kgの砂糖を生産できるのに比べて、甜菜は6kgで約1kgの砂糖を採取することができます。
私は先日、沖縄旅行に行ってきたばかりなので、さとうきびと甜菜との違いについて特に興味を持ち、詳細にお話を伺いました。
甜菜の根は不純物が多いため、アクが強く、石灰で不純物を除去する工程を経ます。
こうした手順を踏んで作られた上白糖の場合、98%近くはショ糖の成分で、純度が非常に高い砂糖ができあがります。
さとうきびも甜菜も上白糖に精製してしまえば、味の違いはあまりないということです。
資料館にパティシエの方が見学に来られて、その方でも味の違いはわからないと言われていたそうです。
国内では、さとうきびを上白糖にまで加工することは少なく、ふつうは私たちがなじみの黒砂糖の段階にとどめます。
この黒砂糖は、搾り汁だけを煮沸濃縮以外の加工をせず製品化するために、色が黒く、不純物も多くて産地の島ごとに味が微妙に違ってくるということになるわけです
世界の砂糖の生産量はさとうきびから作るものが圧倒的に多く、甜菜由来のものは、ドイツ、フランス、ロシア、アメリカ、日本など一部の地域に限られています。
上の写真では、青がさとうきび、緑が甜菜の産地を示しています。
現在では、ブラジルなどが一大産地となっていることをおわかりいただけるかと思います。
日本では、明治時代、北海道の伊達紋別で甜菜による最初の砂糖生産が始まり、何度かの失敗と生産中止期間を経て、大正時代になって第一次世界大戦による好景気を受けて1919年(大正8年)に北海道製糖が設立されて、ここ帯広の地で本格的な砂糖生産が始まります。
これがビート資料館を運営する日本甜菜製糖株式会社の前身にあたります。
しかし、創業当初は製造量は少なく、国内向けの生産に限られていました。
生産量が飛躍的に増大して、現在の発展の契機となったのは、戦後の高度成長期まで待たなければなりません。
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